「ぽかんと花を眺めもって、人間も、ほんまにえいところがあると思うたがよ。花の美しさを見つけたがは、人間やし、花を愛するがも、人間じゃきに。」(太宰治)
「走れメロス」「人間失格」「斜陽」らあの名作を多数残した小説家、太宰治(1909〜1948)さんの言の葉ながやき。
この言の葉を読んだとき、思わずハッと気づかされたがよ。
つまりワシゃあ、花はもともとから美しいもんであり、もともとから愛されるもんやと思うちょったがやき。
けんどよう考えてみりゃあ確かに、花に集まる虫らあは美しいと思うたわけやのうて、単に花の色が目立つとか、蜜を吸うためとかっちゅう理由で、他の生き物やちしかりながよ。
人間だっけが、初めて花の美しさに気づいたっちゅうことであり、初めて花を愛したがも、人間やっちゅうことながやき。
つまり、人間がおらんかったら、誰っちゃあ花の美しさに気づくこともないし、花を愛するもんも誰っちゃあおらんっちゅうことながよ。
そこに気づいたきに、かの太宰治さんも、人間もほんまにえいところがあるっちゅうて、しみじみ思うたっちゅうことながやき。
花の美しさが分かる、花を愛することができる、そんな人間っちゅう生き物は、まっこと素晴らしい生き物やと思わんかよ?