「雪の結晶がどういてできるがかは、科学の領域ながよ。けんど、その雪が、どういてワシに降りそそいできたがかは、科学じゃあ分からんぜよ。」(中谷宇吉郎)
世界で初めて⼈⼯雪の製作に成功し、気象条件と結晶が形成される過程の関係らあも解明したっちゅう物理学者であり、随筆、絵画、科学映画らあにも優れた作品を残しちゅう、中谷宇吉郎(1900〜1962)さんの言の葉ながやき。
世界レベルの超優秀な物理学者でありながら、こんな言の葉を残したっちゅうんは、どういう意味があるがやろうか?
つまり中谷さんは、物理学っちゅう科学の領域をある程度極めたきにこそ、科学だっけじゃあ分からんことがあるっちゅうことを、ワシらあに伝えてくれゆうがやないろうか?
世界で初めて、人工的に雪を作るっちゅう偉業は、並み大抵の努力で成し遂げるこたぁ、おそらくできんがよ。
そりゃあたぶん、何度も何度も実験を繰り返し繰り返し、失敗を繰り返し繰り返し……そんな中で、あるときフッと、天啓のようなもんが降ってきたっちゅう、そんな瞬間があったはずながやき。
つまり、どういて自分に、人工雪の作り方っちゅう天啓が降りそそいできたがかは、科学だっけじゃあ解明するこたぁできんっちゅう、そういう意味があるとワシゃあ思うがぜよ。