「どの場面にやち善と悪があることを受け入れることから、ホンマの意味で人間がたくましゅうなっていくがよ。病っちゅうもんを駄目として、健康であることをえいとするだっけやったら、こればあつまらん人生はないがやき。」(樹木希林)
日本アカデミー賞最優秀主演女優賞らあの、数多くの映画賞に輝いちゅう個性派女優、樹木希林(1943〜2018)さんの言の葉ながよ。
たとえば大河ドラマらあで、徳川家康を主役として見るか豊臣秀吉を主役として見るかで、まったく彼らあの見え方が変わってくるみたいなもんで、世の中っちゅうもんは、一方から見りゃあ善やけんど、別の方から見りゃあ悪やっちゅうことが、どんな場面にやちあるもんながやき。
ほんで、そういうことをまず受け入れることから、ホンマの意味で人間がたくましゅうなっていくもんながよ。
さらにこっからが樹木希林さんの凄いところながやけんど、健康と病気についてやち、おんなじことやっちゅうて、喝破するがやき。
人間、ある程度年をとりゃあ、誰やちひとつやふたあつばあは、何らかの病気を持っちゅうもんながよ。
ほいたら、単純に病気を駄目なもんとして見て、健康をえいもんとして見るがやったら、ある程度年をとった人らあは、みんなあ駄目やっちゅうことになってしまうがやき。
けんど真実は、ある程度年をとらにゃあ絶対に分からんこともあるし、病気にならにゃあ絶対に気づけんこともあるがよ。
さらに、肉体的にゃあバリバリ健康やったち、精神的にゃあこぢゃんと不健康な人もおりゃあ、その逆に、肉体的にゃあ病気だらけやけんど、精神的にゃあこぢゃんと健康な人もおるっちゅうんが、世の中の真実ながやき。
単純に、病気は駄目なもん、健康はえいもんっちゅう思い込みは、ある程度年をとってからのおまさんの人生そのもんを、こぢゃんとつまらんもんにしてしまうっちゅうことながぜよ。