高知県酒造組合において、酒米搗精工場がちくと問題になっちょった際、新澤醸造店さんの搗精工場らあを、高知県酒造組合のメンバーらあで見学さいてもうて、いろいろレクチャーをいただいたことがあったがよ。
ほんでこの度、新澤社長さんと出荷部上長の山岸さん、杜氏の渡部さん、そして搗精を担当されちゅう別会社のライスコーポレーション株式会社の浅野社長さんっちゅう4名にて、これから新たに新精米機らあを導入予定の南国の搗精工場を見学したいっちゅうお話があり、急遽高知県地産地消・外商課と高知県貿易協会の主催にて、講演会をお願いすることが決まったっちゅう流れながやき。
新澤社長さんらあは、高知県酒造組合技術顧問の上東先生らあと南国の搗精工場を見学され、いろいろご助言らあもいただけたようで、まっことありがとうございますぜよ!
ほんで講演会にゃあ、高知県酒造組合蔵元や従業員、高知県地産地消・外商課、高知県貿易協会、高知県中小企業団体中央会、高知県工業技術センター、高知税務署、さらに今後酒米搗精工場を運営してくださる予定の、高知銀行と地域商社こうちの皆さんらあも参加され、30名を超える聴講者が集まられたがよ。


さて、新澤社長さんの講演タイトルは、「『究極の食中酒』を目指す酒蔵の経営方針とは〜震災からの復興〜」っちゅうもんやったがやき。

まず新澤醸造店さんは、明治6年に宮城県大崎市(旧三本木町)にて創業され、現新澤巌夫社長さんは、1999年に五代目杜氏に就任されたっちゅうがよ。
その頃は、年間100石もないばあで、しかも借金だらけで、銀行に支払う利子だけやち大変な状態やって、いつ潰れたちおかしゅうないような、ちんまい蔵やったっちゅうがやき。


そんな中で、グルコース濃度1未満で勝負して「究極の食中酒」を目指すっちゅう、目指す酒の方向性がハッキリと見えてきて、共に醸す蔵人らあも集まりだいて、新ブランド「伯楽星」が2002年に誕生し、2003年から発売を開始したっちゅうがよ。
そっから、200石、300石、400石、500石……ちゅうて順調に伸びてきて、2005年にJAL国際線エグゼクティブクラス機内酒として搭載開始され、2009年にゃあJAL国際線ファーストクラス/エグゼクティブクラスに搭載され、さらに2010年にゃあ「2010FIFAワールドカップサッカー」のオフィシャル日本酒17銘柄に選ばれたっちゅうがやき。
これでやっと借金の返済が終わると思いよった矢先の2011年3月11日、東日本大震災に被災したっちゅうがよ。


蔵は全壊判定、出荷間近の商品も大半が破損、さらにほとんどが瓶貯蔵やったもんやき、割れてなかったち商品が入り交じって分からんもんやき、ラベルも貼れんっちゅう状況やったっちゅうがやき。
この経験から、最近は商品のランクごとに瓶の色を変えるようにしちゅうっちゅうがよ。
また、古い建物、古い蔵はもうコリゴリやと、つくづく実感したっちゅうがやき。
そんな中、蔵人は全員無事で、お酒のモロミも生きちょってくれ、さらに全国から応援の声が殺到したもんやき、そのパワーを元に前に進むことができたっちゅうがよ。
余震の続く中で出荷作業を行い、さらに全国各地から48蔵51名の醸造家(日本酒蔵以外にも焼酎・醤油醸造家らあも)の皆さんが駆けつけてくださり、全壊判定の蔵で精米歩合7%の酒を醸したっちゅうがやき。
その酒は、「伯楽星 Unite 3.11 Super7」と命名され、造りのDVDと共にお世話になった方々らあに配られいてもうたっちゅうがよ。
その後、2011年8月、宮城県南部の川崎町で休眠しちょった蔵を買い取って、移転するっちゅう決断をしたっちゅうがやき。
ほんで、2011年11月に川崎に移転し、2012年3月から旧蔵の解体作業をし、母屋と事務所は残そうとしよったがやけんど、損壊が激しゅうて断念し、更地にしたっちゅうがよ。
2013年8月に三本木本社兼店舗が完成し、受注管理は三本木本社、商品出荷は川崎蔵の2拠点体制とし、2019年より受注・出荷業務を川崎蔵へ完全移行したっちゅうがやき。

続いては、酒米についてで、地元大崎市の生産者11軒と契約し、「蔵の華」「ササニシキ」らあを栽培してもらいゆうっちゅうがよ。
また、自社を等級検査場として登録し、生産者立ち会いのもと、原料米の品質も厳しゅうチェックしゆうっちゅうがやき。
ちなみに酒米の等級は、時々「これで一等?こりゃあ二等やないかよ?!」っちゅうんがあったりするけんど、等級がひとつ下がりゃあ1俵1000円ばあ安うなるっちゅうがよ。
ほいたら1万俵近う買いゆう新澤さんくやったら、1俵1000円安うなったら、従業員を1人雇えるばあになるっちゅうがやき。
ほんじゃき、自社でしっかり等級検査もするがやっちゅうがよ。
次に精米についちゃあ、まず2008年に精米事業や米穀の販売らあを行うライスコーポレーション株式会社を設立し、金剛ロール精米機を導入、酒質が格段に向上したっちゅうがやき。



その後、2015年にダイヤモンドロール精米機に入れ替えて1機増設し、2018年にゃあダイヤモンドロール精米機2機を増設したっちゅうがよ。
さらに2020年にゃあ扁平の精米機(サタケ)2機を新設し、精米所の統合、糠排出処理を自動化するらあの、品質と生産性を共に向上させていきゆうっちゅうがやき。
ちなみに扁平精米は、高精白にゃあ向かんけんど、精米歩合55〜60%あたりで、特に掛米に使やあ、後口のキレがこぢゃんと良うなるっちゅうがよ。ただし造りは大変らしいけんど…。
続いては、その他の設備らあについて、まずオートターンの自動分析機を導入しちょって、機械が代替できる経験値は大胆に機械を導入することで、酒質の安定を図りゆうっちゅうがやき。
また、自社商品の全てが瓶貯蔵で、マイナス5度での低温管理を、200坪の冷蔵庫棟にて行いゆうっちゅうがよ。
お次は、2003年からスタートした、フレッシュローテーション全国旅についてながやき。

コロナ禍じゃあ中止しちょったけんど、毎年6〜7月くらいにかけて、社員2人1組で、全国の取引先酒販店さんをまわり、製造から6ヶ月を過ぎた商品を回収するっちゅうがよ。
ほんで、そんな中で毎年1軒だっけの酒販店さんとの取引を止めて、1軒の新規取引先を特約店に加えゆうっちゅうがやき。
続いて受賞についてで、「SAKE COMPETITION 2016」において、「あたごのまつ」(特別純米酒)が純米酒部門第1位に輝き、「IWC(インターナショナルワインチャレンジ)2022」においては、総合評価第1位を獲得したっちゅうがよ。
お次は商品について、精米歩合7%の純米大吟醸酒は「残響」っちゅう酒名で、今は1本33000円で、年間5000本ばあ出荷されゆうっちゅうがやき。

さらに、精米歩合0%(実際は0.85%)っちゅう商品「零響」(Absolute0)を発売(現在の表示は精米歩合1%未満)したっちゅうがよ。
この商品の価格は385000円で、毎年1000本ばあ安定して売れゆうっちゅうがやき。
続いては、福利厚生についてや従業員データについて、宿泊棟や従業員共有スペースについて、従業員きき酒トレーニングについて、地元大学とのコラボについて、地元支援について、太陽光発電の導入や全社用車ハイブリッド化について……等々を詳しゅう語っていただき、まっこと圧倒されてしもうたがよ。
講演終了後は質問タイムがあり、たくさんの方々からいろいろ質問が出され、新澤社長さんは真摯に応えてくださったがやき。

こうして16時過ぎばあにゃあ、講演会はお開きとなったがよ。
新澤社長さん、まっこと素晴らしい講演を、ありがとうございましたぜよ!
さてその後は、18時から「蕎麦と酒 湖月」さんにて、懇親会が開催されたがやき。
懇親会にゃあ、もちろん新澤社長さんを筆頭に、新澤醸造店の皆さんも参加され、高知県側も20人ばあが集まり、なかなかの「大おきゃく」となったがよ。
この懇親会からは、高知銀行の森下会長さんも参加してくださったき、まずはみんなあで、持ち込みさいてもうた土佐酒をナミナミと注いで、森下会長さんのご発声にて乾杯したがやき。

さあそっから後は、みんなあで飲んで食べて語り合うて、飲んで食べて語り合うての「大おきゃく」ながよ。
ちなみに司牡丹は、「司牡丹・二割の麹が八割の味を決める」(純米酒)を持ち込みさいてもうちょったがやき。

また、「湖月」さんじゃあ、新澤醸造店さんのお酒も扱われゆうっちゅうことで、「愛宕の松・本醸造」や「伯楽星・純米吟醸」らあをいただいたがよ。






どちらのお酒も、ワシの感覚じゃあちくと甘めに感じたがやけんど、新澤社長さん曰くグルコース濃度は1%以下やっちゅうがやき。
扁平精米を使うことで、グルコースは低いに甘めに感じられるっちゅうことらしいがよ。
後半にゃあ、みんなあ席を移動しまくりになり、あっちでワイワイ、こっちで酌み交わしまくり、大盛り上がりに盛り上がって、語り合いまくりになったがは当然やったがやき。
新澤社長さん、そして新澤醸造店の皆さん、まっことまっことありがとうございましたぜよ!
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司牡丹酒造株式会社