2023年12月26日

【酒道 黒金流】「朝ドラ『らんまん』から考える、私たちが学ぶべきこと!」ぜよ!

今回は、ワシが創始して立ち上げさいてもうた、日本酒を媒介とした「もうひとつの道」、「酒道 黒金流」ホームページ(https://shudo-kurogane.jp )の「門前編 其の弐」に、新しいコンテンツとして「朝ドラ『らんまん』から考える、私たちが学ぶべきこと!」を、12月25日にアップさいていただきましたきに、動画も文章も無料で観ることができますき、是非たくさんの皆さんにご覧いただきたいがやき。
写真1 「酒道 黒金流」トップページ

2023年度前期NHK「連続テレビ小説」(通称「朝ドラ」)、牧野富太郎博士をモデル(物語での名前は槙野万太郎で主演は神木隆之介さん)にした物語「らんまん」が、令和5年4月3日からスタートし、9月29日の放送をもって半年間の放送を終えたがよ。


牧野博士は、司牡丹の故郷・佐川町出身の「日本植物学の父」とも呼ばれる世界的植物学者であり、もとは佐川の酒蔵の跡取り息子でしたがその蔵を人手に譲り上京し、植物学者となった方ながやき。


その酒蔵は後に司牡丹酒造に譲られ、現在は当社の一部となっちゅうがよ。


そんな関係で、高知県内各地でロケが行われ、佐川町でも司牡丹の蔵が並ぶ「酒蔵の道」にて撮影が行われたがやき。


ドラマの前半、初回放送から5月のGW終了までの1ヶ月ばあの内容は、酒蔵シーンや酒造りシーンだらけやったがよ。


そんな「朝ドラ効果」により、高知県にも佐川町にも観光客が殺到し、放送が終了した今もその効果は持続しちょって、まっことありがたいことながやき。


ほんでワシゃあ、この朝ドラ「らんまん」にまつわる様々なトピックから、ホンマに多くのことを学ばせていただいたがよ。


ちゅうことで今回は、「朝ドラ『らんまん』から考える、私たちが学ぶべきこと!」っちゅうテーマにて、お届けしたいと思うがやき。


https://shudo-kurogane.jp/shudo/gate02/gate02_34.html

【「らんまん」出演者らの声から】


まず朝ドラ「らんまん」は、高知県佐川町出身の植物学者・牧野富太郎博士の人生をモデルとしたオリジナルストーリーで、好きなもんのために、夢のために、一途に情熱的に突き進んでいく、天真爛漫な主人公・槙野万太郎(神木隆之介)と、その妻・寿恵子(浜辺美波)の波乱万丈の生涯を、幕末から明治・大正・昭和まで描いたもんながよ。
写真2 「門前編其の弐」前半
ほんで、高知新聞じゃあ10月1日(日)の朝刊の一面トップに神木さんの記事を掲載したがやき。


「万太郎を演じられたことは誇り。一生忘れられない、心に刻まれる作品になった。」「好きだから、楽しいから、知りたいからっていう、めちゃくちゃ純粋なものが大きな力になってるんだって。やっぱり僕と似てると思った。」等々、神木さんの思いがあふれるたくさんの言葉が掲載されちゅうがよ。


ヒロイン寿恵子役の浜辺美波さんも、「らんまん」最終回放送日の9月29日に自身のインスタグラムを更新し、「らんまん」への思いをつづっちゅうがやき。


「神木さん演じる万太郎さんと共に大冒険をすることができて、間近でその背中を見続けさせていただき、とてつもなく贅沢な時間でした。写真には残せていませんが、心の中には宝物のような思い出が溢れています。」


ほんで、「半年間ありがとうございました!らんまんじゃあ!」ちゅうて締めくくっちゅうがよ。


さらに、「らんまん」の主題歌「愛の花」を担当したあいみょんさんも、最終回の放送直後に自身の「X(旧Twitter)」にて、「あかん、昼から取材あるのに泣きすぎて顔つぶれる」ちゅうて投稿。


続く投稿じゃあ、「朝ドラ、らんまん。主題歌を担当させて頂いたこと、心から誇りに思います。」ちゅうて感謝の言葉を綴られちゅうがやき。


ほんで、「私にとっての朝ドラは、死ぬまで一生らんまんです!らんまんで良かった。素敵な大冒険でした。寂しいっ!らんまん、だいすき!半年間、本当に、本当にありがとうございました。」っちゅうて、あふれる思いをしたためられちゅうがよ。


【「らんまん」脚本家・長田育恵さんの言葉】


ほんでワシゃあ、「らんまん」の最終回が放送された翌日の9月30日、「らんまん」脚本家の長田育恵さんと宴席を共にして語り合うことができましたきに、長田さんの言葉らあもご紹介させていただきたいと思うがやき。


懇親会じゃあ、長田さんは残念ながらほとんどお酒が飲めんっちゅうことでウーロン茶を注文され、他のメンバーは「船中八策・ひやおろし」にて乾杯したがやけんど、長田さんも舐める程度やったらっちゅうて、一口分ばあ注がせていただいたところ、「あ、おいしいっ!」っちゅうて微笑んでくださったがよ。

写真3 「門前編其の弐」後半

さらに周りのみんなあが、土佐の鮮度抜群の魚料理をいただきもって、あまりに美味しそうに「船中八策・ひやおろし」を酌み交わしまくる姿を見て、もう一口おかわりまでしてくださり、本当に嬉しいかぎりやったがやき。


さて、ワシゃあとにかく長田さんを質問攻めにさいていただき、たくさんのお話を聴かせていただくことができたがよ。


実はワシゃあ、「らんまん」の台本を最初から最後までNHKさんから送っていただいちょって、放送よりか前に読ませていただいちょったがやけんど、登場人物らあの言葉が脇役に至るまで素晴らしゅうて、さらに構成や展開も見事で、とにかく素晴らしい脚本でしたっちゅうて、まずは本気で誉めちぎらいていただいたがやき。


長田さんは、「ありがとうございます。」っちゅうてチビッと照れもって、「作家として書きたいだけの言葉なのか、本当にその人物に必要な言葉なのかを、厳しく判断しながら書いています。」っちゅうて語られたがよ。


「AERA (2023.10.2 No.44)」(朝日新聞出版)の取材記事「現代の肖像 劇作家・脚本家 長田育恵」(加賀直樹 筆)の中でも、「らんまん」執筆中、長田さんが強う思うちょったことがあるっちゅうて書かれちゅうがやき。


数々の新種の植物を探し当て、新しゅう名付けるこたぁ、相手の「本当の名前」を見つけることでもある、つまり植物の氏素性を知り、性質や特徴、どこで生きちゅうかも調べ抜いて初めて「本当の名前」を特定できるっちゅうことながよ。


この解釈を、長田さんは人物描写にも当てはめたっちゅうがやき。


名前を持った一人ひとりがどう生き、死んでいったがか。


長田さんは常に意識し続けたっちゅうがよ。


「だからなのか、長田によって生み出される登場人物は、誰もが好もしい。誰ひとり徹底的には憎めない。一人ひとりの人物像を、彫刻刀のように、言葉でこつこつと造形していった。」っちゅうて、「AERA」の記事にゃあ書かれちゅうがやき。


また、長田さんは劇作家井上ひさしさんの最後の研修生やったっちゅうことで、井上さんの「人が人生で一度だけ言うような、言葉に本当の意味が宿る瞬間を、必ず劇のなかに書き込みなさい」っちゅう言葉を、今もこぢゃんと大切にしちゅうがやっちゅうて、語ってくださったがよ。


綾(佐久間由衣)と竹雄(志尊淳)が、本家の酒屋である「峰屋」を廃業することを分家の三人に報告するシーンで、それまで超脇役と思われちょった分家のバカ息子が、突然綾と竹雄に駆け寄り2人の肩を抱いて涙ながらに発した、「たっしゃでな!たっしゃでな!」っちゅう言葉にゃあ、ワシゃあ思わずウルウルしてしもうたがやき。


まっことこぢゃんと失礼な言い方やけんど、まさか自分がこんな超脇役のバカ息子の言葉に涙してしまうたぁ思うてもおらんかって驚きやったがやけんど、これがまさに「人が人生で一度だけ言うような、言葉に本当の意味が宿る瞬間」やったがやとあらためて気づかせていただき、大納得したがよ。


【「らんまん」は“つながり”の物語】


ほんで、あらためて「らんまん」全体を振り返ってみて、“つながり”の物語やったとワシゃあつくづく感じたがやき。
写真4 「朝ドラ『らんまん』から〜」トップ
下戸でありながら、老舗酒蔵の跡取りの一人息子として生まれた万太郎。


けんど、それが様々な“つながり”を生み、竹雄っちゅう良き相棒に恵まれ、また酒蔵からの援助も受けもって、植物学に邁進できたわけながよ。


また、自由民権運動家・早川逸馬(宮野真守)との“つながり”から、ジョン万次郎(宇崎竜童)とも“つながり”が生まれ、東京大学植物学教室への出入りを田邊教授(要潤)が許したがも、このジョン万次郎との“つながり”が功を奏したともいえるわけながやき。


さらに、十徳長屋の住人らあとの“つながり”、大畑印刷書の方々との“つながり”、ほんで最愛の妻となる寿恵子との“つながり”……等々、様々な縁の歯車が回り、人と人との縁がつながって、万太郎の運命が拓けていくがよ。
写真5 「朝ドラ『らんまん』から〜」文章

数多くの伏線も含め、この“つながり”をこればあ見事に表現したドラマは、近年他に類を見んがやないろうか。  


ほんで、脚本家の長田育恵さんも「産経新聞」(2023.9.25)の取材に応えて、次のように語られちゅうがやき。


「『らんまん』は高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにしていますが、偉人伝ではなく、植物を生涯愛するというシンプルなテーマを持った一人の人物がいて、その人物を“広場”に見立て、そこに集まる人々、関係性、ネットワークというものをドラマとして描き出そうと思いました。(中略)そして最終週は、“継承”が大きなキーワードになっています。牧野富太郎さんが生涯かけて集めた標本は40万点以上あるのですが、これが後々活用されなければ、標本は生きることにはならない。万太郎が図鑑を作ると頑張り続けるのも、後の世へと手渡していくためなんです。植物が次に花を咲かせるため種を残していくように、万太郎も未来への種を残していきます。」と。
写真6 「朝ドラ『らんまん』から〜」動画トップ


やっぱし「らんまん」は、継承も含めた人と人との壮大な“つながり”を表現した物語やったっちゅうことながよ。


【現代のSNS社会の恐ろしさ!悪意の“つながり”!】


ちなみに、「らんまん」の前々作にあたる朝ドラ「ちむどんどん」は、あまりに成長せん主人公が嫌われてしもうたことや、他の登場人物や物語の展開らあに非難が集まったことらあにより、SNS等のネット上で叩かれまくり、主演女優の方は一時ノイローゼ気味にまでなったらしいっちゅうがやき。


そういう意味じゃあ、「らんまん」の主人公の槇野万太郎も、自分じゃあ一切働かんと、竹雄の稼ぎと実家のお金を頼り、実家が潰れたら妻・寿恵子の稼ぎに頼り、さらに子供が大きゅうなったら子供の稼ぎにまで頼り……っちゅう具合で、「働かん、金づかいがあらい、借金する、家を空けまくる」っちゅう、ある意味成長せん主人公やったわけやき、「らんまん」も「ちむどんどん」以上にボロカスに叩かれる可能性もあったがよ。


それがほとんど叩かれることのう、名作と言われる朝ドラとなれたがは、ひとえに長田さんの脚本の言葉の力と、“つながり”の物語の表現力と、天才俳優・神木隆之介さんの力やったといえるがやないろうか。


けんど、現代のSNS社会の恐ろしさは、国民的番組といわれる朝ドラであったち、容赦のうバッシングを受けることがあるっちゅう点ながやき。


誰か一人がSNSで批判を投稿すりゃあ、それが次々に広がっていき、批判が批判を呼び、バッシングの嵐となる……そりゃあまるで、「らんまん」の“つながり”の物語たぁ真逆の、“悪意のつながり”とも表現できるがよ。


そもそも現代は、資本主義社会が行き詰まり、そこにコロナ禍が拍車をかけ、「この世界は悪意に満ちちゅう!」「人は弱い者をいじめ、自分のことしか考えん!」と思うちゅう人が増えゆうとも語られゆうがやき。
写真7 「朝ドラ『らんまん』から〜」動画

そこにSNSが加わりゃあ、昔やったら許されたことやったち、何かひとつ失敗を犯し、その初期対処を間違うてしもうたなら、もはや世界中から袋叩きに遭うことを覚悟せにゃあならんっちゅうことであり、そりゃあワシらあの誰しもに起こりうることながよ。


しかも、その袋叩きにしゆう側の本人らあ一人ひとりにゃあ、そんな意識らあほとんどないがやき。


これが“悪意のつながり”の本当の恐ろしさながよ。


ワシらあは何の悪意もないまんま、“悪意のつながり”の拡散に加担しちゅうかもしれんがやき。


……もしかしたらそんな世の中やきにこそ、真逆の「らんまん」のような“善意のつながり”の物語が求められ、感動を呼んだがかもしれんともいえるがやないろうかのう。


【現代の日本酒業界が学ばなければならない大切なこと】


さて、現代の日本酒業界、特にコロナ禍以降の日本酒業界を眺めてみたとき、ワシゃあこぢゃんと危機感を感じちゅうがよ。


コロナ禍となって以来、メーカー同士あるいは酒販店同士の間で、「コロナやから…」「未曾有の危機やから…」「背に腹は変えられん…」っちゅうような言葉が、アチコチで囁かれゆうがを何度か耳にしたがやき。


ほんでそんな中で、何軒かのメーカーや酒販店が、これまでの商売道徳に反するような行動に出たっちゅう噂が聞こえてきたがよ。


さらに、どうやらそのような行為がこの業界に拡散しつつあり、しかも「アイツはこんなズルいことをやって儲けちゅうらしい。自分もやらにゃあ損じゃ!」みたいな空気が蔓延し、あたかもそのような行為が正当化されつつあるようながやき。


そりゃあまるで、「らんまん」の“つながり”たぁ真逆の、“悪意のつながり”が拡散されゆうかのようにワシにゃあ感じられるがよ。


「未曾有の危機やから」「背に腹は変えられん」…っちゅうことやろうけんど、ホンマにそれでえいがじゃろうか。


ワシらあの業界にゃあ、創業数百年っちゅう老舗も少のうないがやき。


ほいたら、「未曾有の危機」らあ、コロナ禍が初めてじゃあないはずながよ。


明治維新や第二次世界大戦を考えりゃあ、日本中がコロナ禍以上に未曾有の危機やったはずながやき。


また、地域を限りゃあ関東大震災も、さらに近年じゃあ阪神淡路大震災や東日本大震災もあり、これらあも未曾有の危機やったはずながよ。


司牡丹酒造も戦中戦後の時代、原料の米が入手困難となり、売り上げが前年の10分の1になったことがあったがやき。


世の中に粗悪な酒が蔓延する中、当時の社長でワシの曽祖父の竹村源十郎は、「売り上げは落としたち酒の品質は落としたらいかん!」っちゅうて社内に厳命し、司牡丹の品質を守り抜いたっちゅうがよ。


これが、戦後しばらく経って原料米が普通に入手できるようになってから、「あんな時代やち品質を落とさんかった!」っちゅうて、全国の取引先から大きな信用を得ることにつながり、司牡丹に注文が殺到したそうながやき。


ちなみに司牡丹の社是「源・和・創・献」の「源」たぁ、この源十郎の心を心とするっちゅう意味を含んじゅうがよ。


ほんじゃき、コロナ禍の「まん延防止等重点措置」により、全国の飲食店で酒類の提供が制限された際、司牡丹の売り上げが通常の3分の1ばあになった(3ヶ月ほどやけんど)ことがあったけんど、ワシゃあ社員に「源十郎は、売り上げが10分の1になったち品質を落とさんかった!」っちゅうことを伝え、あらためて社是の「源」を意識させるだっけで、社内全体のモチベーションを維持することができたがやき。


ほんでワシゃあ、曽祖父源十郎から学んだことと同様のことを、違う形であらためて「らんまん」から学び直させていただいたと感じちゅうがよ。


そりゃあ、“悪意のつながり”らあに加担することのう、“善意のつながり”を大切にしていくことであり、またそりゃあ、老舗ならではの商売道徳を貫くことであり、自身や自社の美学でもあり、矜持でもあるがやと思うちゅうがやき。


確かに今の世の中は悪意に満ちちゅうがかもしれんがよ。


けんど、それやち!ほんじゃきにこそ!善意の縁は必ずつながり、いつしか花を咲かせるがやと信じちゅうがやき。


きっと誰かが見てくれゆうがよ。


たとえ誰っちゃあ見てなかったとしたち、天は見てくれゆうがやき。


さてさて、ここまでかなりの長文やったけんど、本編じゃあまっと詳しゅうに紹介さいていただいちゅうきにまっと詳しゅう知りたい方は、下記をクリックし、無料のYouTube動画やPDF原稿を、是非ご覧いただきたいがぜよ。


https://shudo-kurogane.jp/shudo/gate02/gate02_34.html















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司牡丹酒造株式会社


Posted by tsukasabotan at 09:24│Comments(0)