今回(2月25日)と次回(3月25日)は前後編にわたって、ドラマ「ファーストペンギン！」(2022年10月〜 日本テレビ系列)の監修者でもある、ながさき一生氏の著書「魚ビジネス」(ながさき一生 著 クロスメディア・パブリッシング 2023年4月21日発行 1580円＋税)を取り上げたいと思うがよ。
この書籍は、魚に関係するビジネス全般について、食べることが好きな人から専門家まで、楽しゅう読めるように書かれた書籍ながやき。
けんど読めゃあ読むばあ、魚ビジネスと日本酒ビジネスはよう似いちょって、学ぶべき点が多々あることに気づいたがよ。
また当然魚は、日本酒にとっちゃあ最高に相性のえいパートナーでもあるがやき。
ちゅうことで今回と次回は、「魚ビジネス」の内容らあをご紹介しもって、日本酒についても言及していきたいと思うがぜよ。
https://shudo-kurogane.jp/shudo/gate02/gate02_36.html
【世界のセレブは、なんで日本に魚を食べに来るがか…ほんで日本酒も！】
まず著者は、序章に「世界のセレブは、なんで日本に魚を食べに来るがか」っちゅうタイトルをつけちゅうがよ。
ほんで、オバマ大統領も、デビィッド・ベッカムも、レディー・ガガも……世界のセレブをはじめとする外国人は日本の魚が大好きで、日本に魚を食べに来ゆうがやっちゅうて指摘するがやき。
さらに、そもそも世界じゃあ、魚の消費が伸び続けゆうっちゅうがよ。
FAO(国際連合食糧農業機関)の「世界・漁業養殖白書2022」じゃあ、食用として消費される水産物は、年々増え続けゆうことが報告されちゅうっちゅうがやき。
1970年にゃあ4000万トン程度だったもんが、2020年にゃあ過去最高の1億5700万トンに達しちょって、こりゃあ、毎年の人口増加のほぼ倍の割合で増えゆうがやっちゅうがよ。
ほんで著者は、このように魚の消費が世界で伸びゆう理由を一言でいやあ、「世界の人々が魚の良さに気づいたきに」となるがやっちゅうがやき。
まず、世界的な健康志向の高まりに伴うて、長寿大国で知られちゅう日本の食事に注目が集まり、和食を代表する魚がヘルシーな食べ物として注目されるようになったことを挙げちゅうがよ。
また、2013年にユネスコの無形文化遺産に「和食〜日本人の伝統的な食文化〜」が登録されたことで、和食の知名度を押し上げ、和食のタンパク源として使われゆう魚に、ますます注目が集まるようになったっちゅうがやき。
今じゅあ、和食レストランも世界各地で見られるようになり、和食を代表する寿司も世界中に伝播しちゅうがよ。
けんど、それらあは日本人やないもんによって営まれゆうことも多うて、日本たぁ違うたもんが出されゆうことも多々あるがやっちゅうがやき。
そんな中、日本に行って「本場の魚が食べたい」「本場のSUSHIが食べたい」と思うちゅう外国人は、ワシらあが想像しちゅう以上に多いがやっちゅうて、著者は語るがよ。
ほんでさらに著者は、世界のセレブにもリスペクトされちゅう日本の魚食は、ワインのように今後世界の教養になっていく可能性もあるっちゅうて語るがやき。
現に、レディー・ガガは美味しい寿司屋を知っちゅうことで、周りから尊敬されちゅうっちゅうがよ。
魚について知っちゅうことが、日本人としてのアイデンティティとなり、世界のステータスになっていく……そんな未来が近いがかもしれんっちゅうて著者は語るがやき。
ほんで、ここまでの文章の「魚」の部分を「日本酒」に入れ替えたち、ほとんどそのまんま使えるがやないろうかと、ワシゃあ思うがよ。
現に、オバマ大統領も、レディー・ガガも……世界のセレブをはじめとする外国人にゃあ、日本酒ファンが多いがやき。
日本酒の輸出量も伸び続けちょって、連年のように過去最高を更新しゆうがよ。
ほんで、このように世界で日本酒の消費が伸びゆう理由はなんでかっちゅうがを一言でいやあ、魚と同様に「世界の人々が日本酒の良さに気づいたきに」となるがやき。
さらに、世界のセレブにもリスペクトされちゅう日本酒は、ワインのように、今後世界の教養になっていく可能性も、魚食以上にあるといえるがよ。
日本酒について知っちゅうことが、日本人としてのアイデンティティとなり、世界のステータスになっていく…そんな未来が近いかもしれんといえるがぜよ。
続いての「寿司から学ぶ魚ビジネスの世界」についちゃあ、ここじゃあカットさいていただきますきに、知りたい方はサイトの方にてご覧いただきたいがやき。
https://shudo-kurogane.jp/shudo/gate02/gate02_36.html
【神経締めから学ぶ鮮度保持の世界…ほんで日本酒！】
本書の第4章じゃあ、消費者の間やちよう聞くようになった「神経締め」を主な題材として、著者は鮮度保持の世界について解説しちゅうがよ。
魚は獲った後、何もせんかったら暴れて傷んだり、温度が上がって腐敗が進んだりするきに、それを防ぐために、魚に何かしら施すことを「締める」っちゅうがやき。
魚を締める行為は、獲れた直後にされることもありゃあ、出荷された後にされることもあるそうやき、どのタイミングでどのように締めたかによって、魚の鮮度の落ち方がまったく変わってくるそうなよ。
ほんで著者は、様々な締め方について紹介しちゅうがやき。
�”皇�め、��脳締め、�７貳瓦�、�た牲伉�めの4つで、特に�い蓮�魚の神経を抜く締め方やっちゅうがよ。
魚の神経は、頭から尻尾にかけての背骨付近にそって管状のもんが走っちょって、その神経をワイヤーや特殊な水鉄砲、空気砲っちゅうような道具を使うて除去するそうながやき。
神経を抜きゃあ体内の細胞に「死んだ」っちゅう情報が伝わらんき、死後硬直さえも抑えて鮮度を保つきに、劇的に鮮度を保てることが多いがやけんど、手間がかかり、大量の魚を扱う際にゃあ向いてないそうながよ。
ほんで、これらあの何がベストながかは、魚種や漁法、魚の用途によっても様々で、組み合わされる場合もあるっちゅうがやき。
また、魚は締めることによって、後々うま味成分を増やすことにもつながるっちゅうがよ。
魚の体内にゃあATP(アデノシン三リン酸)っちゅう物質があり、魚の死後にうま味成分であるイノシン酸に変わっていくそうながやき。
このATPは筋肉を動かすエネルギーになる物質でもあるきに、魚が暴れると大量に消費されてしまうけんど、魚を締めることでそれを防ぎ、体内にATPを多く留めることで、うま味を増やすことにつなげられるっちゅうがよ。
また、神経締めの場合は、ATPの減少を防ぐさらなる効果があるっちゅうがやき。
神経締め以外の締め方やと、「死んだ」っちゅう情報が神経を通して全身に伝わり、魚体の死後硬直が始まり、この際にも筋肉が収縮するきに、ATPは消費されるそうながよ。
けんど、神経締めをして神経を取ってしまやあ、それは起きんがやき。
死後硬直をさせんと、ATPを体内に多く留め、うま味を増やさせるがが神経締めながやと著者は語るがよ。
ほんで著者は、そもそも鮮度たぁ何かについて、詳しゅう語るがやき。
こりゃあ魚の場合は、獲れた直後を一番新しいとし、獲れてから時間が経ってないもんを新鮮と表現すりゃあえいと思えるきに、一見分かりやすう感じられるけんど、魚は漁獲後にどのように扱われたかによって、その後の品質が変わるがやっちゅうがよ。
雑に扱われた魚と丁寧に扱われた魚じゃあ、獲れてからの日数が同じやったち品質にゃあ差が生まれてくるがやっちゅうがやき。
ほんで著者は、鮮度の客観的な指標として、斎藤恒行氏らあによって1959年に発表された論文の中に書かれちゅう「K値」を紹介しちゅうがよ。
魚の鮮度を測ろうとした場合、そのアプローチ方法は物理学的、細菌学的らあて様々に考えられるけんど、斎藤氏らあはまったく違うアプローチを試みたっちゅうがやき。
そりゃあ、魚の筋肉中にあるATPに着目する方法ながやっちゅうがよ。
ATPは、魚の死後時間が経つにつれて、うま味成分のイノシン酸へと変わっていき、ほんでイノシン酸の後は、イノシン、ヒポキサンチンっちゅう物質に変わり、うま味が失われ、苦味が増えるそうながやき。
つまり、時間が経ちゃあ進むATPの変化は、イノシン酸までは味にとって有用やけんど、それ以降は味にとっちゃあ不都合なもんになるっちゅうがよ。
斎藤氏らあはこの変化に着目し、「ATPから変化するヒポキサンチンまでの物質の総量のうち、味にとっちゃあ不都合なイノシンとヒポキサンチンの割合」を「K値」として定めたっちゅうがやき。
「K値」は、小さいほど鮮度が良うて、大きいほど鮮度が悪いことになるそうながよ。
また「K値」は、魚の鮮度を測るがはもちろん、魚種ごとに違う鮮度劣化の早さの違いも示してくれちゅうっちゅうがやき。
ある実験で、タラとタイを氷につけて保管したところ、タラの場合は3日で「K値」が60%を超え、タイの場合は4日後も5%前後を保っちょったそうながよ。
タラは悪うなりやすうて、タイは悪うなりにくいっちゅうこたぁ経験的に知られちょったそうやけんど、それを客観的な数値で示してくれたがやっちゅうがやき。
続いて著者は、生と冷凍はどちらがえいがかについても、詳しゅう語っちゅうがよ。
著者が東京海洋大学の学生だった頃に受けた授業、鈴木徹先生の「冷凍学」にて、「冷凍たぁ、時を止める技術である」っちゅうて語られた話が、脳裏に焼き付いちゅうそうながやき。
超低温で急速冷凍することで、「アモルファス」っちゅう状態で固体になり、結晶化せんとホンマに時が止まったような状態で保存できることを学んだっちゅうがよ。
ほんで著者は、生魚と冷凍魚じゃあどっちが鮮度がえいかは、結局はケースバイケースやっちゅうて語るがやき。
つまり、生魚と冷凍魚のどっちが鮮度がえいかの答えを事例で挙げりゃあ、獲れてからすぐに冷蔵された生のマグロやったち、早う食べにゃあ、獲れてからすぐに急速凍結されたマグロの鮮度にゃあかなわんことになるっちゅうがよ。
さらに著者は、様々な冷凍方法についてや、日本の魚の鮮度は世界一といえるがやないかっちゅうトピックらあについて語っちゅうがやき。
ほんで、「けんど、鮮度はすべてやあない」とも語るがよ。
まず分かりやすい例として、漁師をしよった著者の父親が、繰り返し語りよったブリについての話を紹介するがやき。
「魚は鮮度がえい方が美味しいといわれるけんど、ブリは置いた方が美味しゅうなるがよ。
ただ、置く前のコリコリしたブリが好きやっちゅう人もおるがやき。
結局、何がえいかは人によるがよ。」っちゅう内容ながやき。
また、地域的な嗜好の差で、東日本はうま味や脂を好み、西日本は歯ごたえと甘みを好むっちゅうような傾向もあるきに、 鮮度ながか、熟成ながか、はたまた間のちょうどえいところながか、そりゃあ食べる人の好みやったり、提供側の狙いやったりで、何がえいがかは変わってくるっちゅうがよ。
また、どればあの鮮度が多くの人に好まれるがかは、魚介類の種類によったち変わってくるそうながやき。
貝類やウニ、カニらあは新鮮なばあ好まれる傾向にあり、深いところにおるタラ類らあも新鮮な方が好まれやすいっちゅうがよ。
一方で、ブリやマグロは置いちょくことでうま味が増え脂も感じやすうなるそうで、マダイやヒラメっちゅう浅瀬の白身魚も置くことでうま味が増して、多くの人に好まれやすい味になるそうながやき。
ほんで著者は、鮮度は魚の味を決めるにあたって重要な要素じゃああるけんどすべてやあない、求めるもん、目指すもんにたどり着くための指標の1つに過ぎん、ちゅうことを念頭に置いちょくべきやと語るがよ。
この章の、魚の鮮度保持のトピックも、日本酒の世界とまっことよう似いちゅうといえるがやき。
まず魚を締めるっちゅうがは、日本酒の世界でいやあ、「火入れ」(低温での加熱殺菌)に当たるといえるがよ。
さらに、魚の締め方にも様々な種類があるように、日本酒の火入れにも、「プレートヒーター」「パストライザー」「瓶燗火入れ」等、様々な火入れ方法があるがやき。
また、何がベストな火入れ方法ながかは、日本酒の酒質タイプや用途(たとえば主に燗で飲まれるどうか等)によって違うといえるっちゅう点も同様やといえがよ。
ほんで、鮮度たぁ何かについても、日本酒はやはり魚と同様であり、酒蔵から出荷された後にどのように扱われたかによって、その後の品質は変わるといえるがやき。
たとえ同じ商品で、同じ日に瓶詰めされ同じ日に出荷された日本酒やったち、配送途中のトラックで直射日光を浴びたもんとそうやないもん、酒販店内の蛍光灯の真下に裸瓶のまんま陳列されたもんと薄暗い冷蔵庫内に保管されたもんじゃあ、その品質にゃあ大きな差が生まれるっちゅうことながよ。
ちなみに日本酒を家庭用の冷凍庫（マイナス20℃程度）に保管すると、大抵は凍るけんど、こりゃあ瓶が割れたりする危険性があるし、水の部分から先に凍り、アルコールの部分が後から凍って水分子とアルコール分子が分離してしまうきに、解凍後に振って混ぜたとしたち味わいにまとまりがないなってしまうことが少のうないようやき、避けた方が無難やといえるがやき。
日本酒を鮮度維持のために保管するやったら、凍らんマイナス５℃程度がお薦めやといえるがよ。
さらに、「鮮度はすべてやない」っちゅう言葉も、日本酒にそのまんま当てはまるといえるがやき。
近年は、日本酒の搾ったまんまのフルーティな香りや搾りたてのフレッシュ感が好まれるきに、日本酒は鮮度がえい方が美味しいと思われがちながよ。
けんど、かつては搾ったばっかしの日本酒はあんまり好まれんと、逆にしっかり熟成さいてまろやかに落ち着いた日本酒が好まれちょった時代もあったがやき。
ワシが日本酒業界に入ったばっかしの平成の最初の頃は、当時の古老らあから「日本酒を早う金に換えろうとせられん！きちんと熟成さいてから出荷しいや！」と厳しゅう言われたもんながよ。
まだこの頃は、搾ったばっかしの新酒はフレッシュじゃああるけんど、若すぎる荒々しさがあり、それが嫌われちょったがやき。
しっかり熟成さいて、荒々しさが消え、まろやかに熟成した味わいが好まれちょったっちゅうことながよ。
江戸時代にゃあ、春先に搾られた新酒を火入れして酒蔵の中で貯蔵し、夏を越えて秋風が吹くあたりまで熟成さいて、外気温と蔵内の酒の温度が同じばあになる頃、その酒を冷やのまんまでおろしてきて、そのまんま火入れせんずつ出荷するっちゅう「ひやおろし」が、日本酒の中じゃあ最上の美味しい酒やとも言われよったがやき。
つまり、何が美味しいと言われるかは、時代や好みによって変わるっちゅうことながよ。
そうすりゃあ、今後も、日本酒は鮮度がえい方が美味しいと言われ続けるかどうかは分からんっちゅうことながやき。
実際、いっとき大流行した「無濾過生原酒」は、最近はあんまり話題にならんなっちゅうし、熟成感のある日本酒や、さらにゃあ5年や10年ばあ長期熟成さいた日本酒らあも、注目されはじめちゅうがよ。
要するに、魚の鮮度と同様、日本酒にとっての鮮度も、味を決めるにあたって重要な要素じゃああるけんど、すべてやあない、求めるもん、目指すもんにたどり着くための指標の1つに過ぎんっちゅうことを念頭に置いちょくべきやといえるがやき。
さてさて、ここまでかなりの長文やったけんど、本編じゃあまっと詳しゅうに紹介さいていただいちゅうきにまっと詳しゅう知りたい方は、下記をクリックし、無料のYouTube動画やPDF原稿を、是非ご覧いただきたいがぜよ。
https://shudo-kurogane.jp/shudo/gate02/gate02_36.html
土佐の高知の日本酒蔵元「司牡丹」の公式ホームページは、こちらをクリック！
司牡丹酒造株式会社
