「全部2番。もちろん、1番になれたほうがえいけんど、そのために他が犠牲になるばあやったら全部2番がえいがぜよ。」(高橋由伸)
千葉県出身の元プロ野球選手(外野手・内野手、右投左打)で、読売巨人軍の監督も務めた、野球解説者で評論家、高橋由伸(1975〜)さんの言の葉ながやき。
プロスポーツ選手やに、全部2番がえいっちゅうんは、ちくとどうながやろうと思うてしまうかもしれんけんど、実はなかなか深い意味があるがよ。
まず、由伸さんは、「2番でえい」やのうて、「2番がえい」っちゅうて表現しちゅうがやき。
つまり、あまんじて2番で我慢するっちゅうんやのうて、自らの意思であえて2番を選ぶっちゅう意味ながよ。
さらに、「全部2番がえい」っちゅうこたぁ、野球選手にとって必要な、あらゆる分野において2番を取るっちゅうことやき、そりゃあ想像以上に難しい、実は凄いことながやき。
たとえば、本塁打数で2番、打率も2番、打点も2番、安打も2番、盗塁も2番……ちゅうたら、本塁打だっけで1番を取るよりか、凄いことやたぁ思わんかよ?
しかも、何で2番がえいがかっちゅうたら、「そのために他が犠牲になるばあやったら」っちゅうことながよ。
つまり、家庭とか趣味とか、仕事以外にも自分にとって大切なもんを、仕事のためやからっちゅうて犠牲にらあせんっちゅうことで、今風の言葉でいやあ「ワークライフバランス」を大切にしたいっちゅうことながやき。
かつての「24時間戦えますか」っちゅうキャッチコピーが表しちゅうような、他の全てを犠牲にして仕事一筋に全身全霊を傾けるっちゅう企業戦士は、現役を退いた後にゃあ燃え尽きてしもうて、粗大ゴミ的存在になってしもうたりしてしまいがちながよ。
現役を退いた後にやち、まだまだ長い人生があることを考えりゃあ、「ワークライフバランス」を大切にした、「全部2番がえい」っちゅう由伸さん的な考え方が、長い人生全体で眺めた際にゃあ、実は正解ながやないろうかっちゅうことながぜよ。